2009年4月29日水曜日

希望の地

Koelner Stadtanzeiger紙オンライン版が、新たな文書館の立地場所として、文書館倒壊現場に再建するという案がFDP自由民主党から提案されたと報じています。
http://www.ksta.de/html/artikel/1240406286721.shtml
http://www.ksta.de/html/artikel/1238966894863.shtml

意外な(驚くべき)ことに、同紙はFDPによるこの提案を好意的に報じています。
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「どうして私たちは今後投資家が見つかるまでの長きにわたって、ゼフェリン通りに残された空所とともに生きなければならないのでしょうか。ケルン市民の心にとっても、この穴が速やかに埋められることがいいに違いありません」とFDPのRalph Sterck氏は述べています。この提案は文化委員会に諮られることとなりました。

「もちろんそのためには、いつになれば事故現場の安全が完全に確立され、文書館再建のための準備が始められるか明らかにされなくてはなりません。この場所に文書館を再建する利点の一つは、すでにこの土地がケルン市の所有であることが挙げられます。」とSterck氏。

現在ケルン市当局では、新たな立地場所としてMessecityが有力視されています。

二人の犠牲者を出し、周辺住民を含めた多くの人々の生活を脅かしたこの惨事の場所に、再び文書館が再建されると聞けば、多くの人はまずたじろくのではないでしょうか。しかし、このFDPの提案には考慮に値する点があります。倒壊現場に文書館が再建されるということは、むしろ周辺住民にとっては新しい将来を約束する希望をもたらすのではないでしょうか。 合理的に考えてもこの提案は多くの長所があります。まずは市内中心という立地条件。拡大する収納スペースの問題に関しても、地下に十分な収蔵場所と、それに応じた人工的な空調設備の設置をみとめれば、十分に解決可能です。そして、市の所有地であるというコスト的なメリットもあります。
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はたして本当に倒壊現場に文書館を再建することは可能なのでしょうか。そしてケルン市民は本当にそれを望んでいるのでしょうか。仮に倒壊現場の安全性が十分に「確認」されたとしても、今回の惨事を引き起こした原因の地下鉄工事は今後も同じ場所で進められていきます。歴史文書館の再建にとって、その再建場所は今後の文書館のあり方にとって、非常に重要な決定になるでしょう。それには、一部の政治家、官僚、専門家だけでなく、広く市民をも巻き込んだ幅広い開かれた議論と、普遍的価値観と長期的・総合的プランに基づいた決定が必要とされているのではないでしょうか。

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